日本の迎賓館だった歴史あるホテル

19世紀に誕生した帝国ホテル東京は、現在まで脈々と「おもてなし精神」が受け継がれており、帝国ホテルに関する本は何十冊と出版されているほどです。
帝国ホテルは1890年に、迎賓館として建てられ、初代会長は日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一です。

渋沢が残した「必要なら世界のどんなモノでも調達する」という趣旨の言葉は現在も語り継がれています。
ホテル業界の専門家たちも東京のベストホテルと絶賛する、日本の高級ホテルの名門中の名門と言ってよいでしょう。

サービスの質の高さだけでなく、「バイキング」「ビュッフェ」という食事スタイルやホテルで挙げるウエディング、ランドリーサービスなど、帝国ホテル発のサービスは現在も日本中の各地で定着しています。
東京都心という恵まれた場所・立地で、スタッフ数1800人、客室数900以上、宴会場20以上、各種のレストラン・バー・ラウンジ約20とバラエティ豊富で、使いやすさにも配慮されています。

多彩な活躍の場

帝国ホテルは、通常のホテルと同様に、個人旅行、団体旅行、ビジネス利用、結婚式や研修と幅広く使われています。
特筆すべきは国際会議で利用され、それに対応できる体制を持っていることは帝国ホテルが持つ大きな強みです。

海外資本の高級ホテルが次々と国内に進出する中で、このようなメイド・イン・ジャパンのホテルはむしろ異彩を放っているように思えます。
日本代表としてのプライドを持ち続けてほしいと願います。

東京オリンピックの2020年以降を見据えた人材育成

新入社員が入り、ちょっとやそっと職場研修をしても、帝国ホテルのサービスを実現できるわけではありません。
まずは、あいさつや返事など基本的なことがきちんとできるか、からスタートします。
押付けがましくなく、ちょっと離れた立ち位置で、わが家に帰ったかの様に居心地よく過ごせるようなサービスを提供できるスタッフに育てられます。

サービス力アップにつながった帝国ホテルの挑戦

2012年に開催の国際通貨基金・世界銀行総会で国際会議の主要施設として、帝国ホテル全館が1週間貸し切りで使われました。
世界各国の財務相や中央銀行総裁が一堂に集結したため、様々な国の料理の準備が必要です。

このため、通常にはない問い合わせや財務省との打ち合わせを重ね、宿泊、会議、パーティを無難に運営するという至難の業を経験しました。
このような経験を積み重ねて、ホテル自体が成長してきたと支配人は語ります。

スタッフの細やかな心配り

帝国ホテルの客室清掃スタッフが使う言葉に、「鼻から入る」という言葉があります。
この意味は、部屋清掃に入ったら、自分の鼻が匂いに慣れてしまわないうちに、しっかり嗅ぎ取り異常がないかを感知するという意味です。
また車の送迎スタッフは、車の番号をメモしておき、ドアを開けるときには、「○○様いらっしゃいませ」と名前で呼べるようにするなど、心配りを挙げたら枚挙にいとまがありません。